1LegionはAI推論向けのGPUサーバーをマシン単位でレンタルします。8基のNVIDIA GPUがお客様のトラフィックだけを処理し、サービングスタックとハードウェアの間にハイパーバイザーはありません。サーバーはGPUあたりのメモリ容量で選びます。処理中のすべてのリクエストの重みとKVキャッシュがそこに収まる必要があるためです。
専用の推論サーバーでレイテンシを予測可能に
専用サーバーでは、GPUメモリとメモリ帯域幅を奪い合うのはお客様自身のリクエストだけです。
密なモデルでは、トークンを1つ生成するたびにすべての重みをGPUメモリから読み出すため、デコード速度はメモリ帯域幅で決まります。FP8の70Bパラメーターモデルの重みは70 GBで、HGX B300のGPUはメモリを7.7 TB/sで読み出すため、KVキャッシュの読み出しを考慮しない場合、単一シーケンスの上限は毎秒約110トークンです。バッチ処理では、同じ読み出しで多数のシーケンスを処理します。共有ハードウェアでは、他のテナントの負荷によってこの上限が変動します。当社のハードウェアではテナントは1社のみでハイパーバイザーもなく、当社側の変更は書面による変更管理に従い、高リスクメンテナンスは7日以上前に事前通知します。その仕組みは共有GPUインフラでLLM推論が破綻する理由の記事で解説しています。
重みとKVキャッシュで決めるLLM推論用ハードウェア
必要なメモリは、モデルの重みに、同時に処理するすべてのシーケンスのKVキャッシュと、アクティベーションおよびランタイム用の余裕を加えたものです。
重みはパラメーターあたり、FP16またはBF16で2バイト、FP8で1バイト、FP4で0.5バイトを使うため、70Bパラメーターのモデルにはそれぞれ140 GB、70 GB、35 GBが必要です。KVキャッシュは処理中のトークンが増えるごとに大きくなります。80層、8個のKVヘッドを持つLlama 3 70Bクラスのモデルでは、16ビット精度でトークンあたり約0.33 MB、32,768トークンのシーケンス1つで約10.7 GBを使用します。
| FP8の70Bモデル、GPU 1基 | 重みを除いた残りのメモリ | 8Kシーケンスの同時処理数 | 32Kシーケンスの同時処理数 |
|---|---|---|---|
| HGX B300(270 GB) | 約200 GB | 約74 | 約18 |
| RTX PRO 6000 Blackwell(96 GB) | 約26 GB | 約9 | 約2 |
これらは上限値です。アクティベーションとフレームワークのオーバーヘッドを考慮せず、16ビットのKVキャッシュを前提としており、キャッシュを量子化すればこの値は伸びます。計算の詳細は96 GBと270 GBでKVキャッシュに残る容量で解説しています。
どのモデルにどのサーバーが適しているか
HGX B300は最大規模のモデルと最長のコンテキストに、RTX PRO 6000 BlackwellはFP8またはFP4の70Bクラスのモデルに、L40Sはより小さなモデルに対応します。
HGX B300
GPUあたり270 GBのHBM3e(7.7 TB/s)、サーバーあたり2.1 TB。FP4の405Bパラメーターモデル(約203 GB)が1基のGPUに収まり、キャッシュ用に約67 GBが残ります。トロントで割り当て受付中です。
RTX PRO 6000 Blackwell
GPUあたりECC付きGDDR7を96 GB、サーバーあたり768 GB搭載し、第5世代TensorコアでFP8とFP4に対応します。FP4の70Bモデルでは、GPUあたり約61 GBがキャッシュ用に残ります。モントリオールで割り当て受付中です。
L40S
GPUあたりECC付きGDDR6を48 GB(864 GB/s)、サーバーあたり384 GB搭載し、FP8の演算性能は733 TFLOPS(密)です。FP16の8Bパラメーターモデルは16 GBを使用し、キャッシュ用に約32 GBが残ります。提供は要相談です。
1つのモデルが1台のサーバーに収まらないほどのメモリを必要とする場合は、GB300 NVL72が72基のGPUと20 TBのHBM3eを、NVLink帯域幅130 TB/sの単一のNVLinkドメインにまとめます。予約制で提供します。
GPUごとに1レプリカ、サーバーあたり8レプリカ
8基のGPUを搭載したサーバーは8つの独立したメモリプールで構成されるため、ほとんどの導入例ではロードバランサーの背後でGPUごとに1つのモデルレプリカを実行します。
HGX B300では、FP8の70Bモデルのレプリカを8つ(それぞれ32Kトークンのシーケンスを約18本保持)、またはFP8の405BモデルをGPU 2基で構成したレプリカを4つ(GPUあたり1.8 TB/sのNVLinkで接続)実行できます。RTX PRO 6000 BlackwellのGPUはNVLinkではなくPCIe 5.0 x16で接続されるため、GPUごとのレプリカが適しています。FP4の70Bレプリカを8つ、または4基のGPUで推論を提供しながら残りの4基で次のバージョンをファインチューニングする構成です。メモリ帯域幅はB300のGPUの約5分の1であるため、単一ストリームでの最小レイテンシを求める用途よりも、バッチ処理による推論に適しています。小規模なモデルでは、MIGによってRTX PRO 6000 1基を最大4つの24 GBインスタンスに、B300 GPU 1基を最大7つのインスタンスに分割できます。具体的な構成は、B300ノードに収まるものとRTX PRO 6000ノードに収まるものの記事で紹介しています。
エッジでのパブリックトラフィックの処理
当社の納品仕様書に沿って構築したHGX B300クラスターでは、エッジネットワークをパブリックな推論エンドポイント向けに設計しています。
- 回線あたり100 Gb/sの独立した2社のトランジット事業者に、物理的に異なる経路で接続し、eBGPとBFDを使用します。
- 専用のパブリックサービスアドレス(通常8個)。お客様のVIPをBGPで広報し、5秒以内のフェイルオーバーとIPv6デュアルスタックに対応します。
- 1 Tb/s以上のレイヤー3およびレイヤー4のボリューム型DDoSスクラビング。BGP経由で5分以内に有効化します。
- 1,000万以上の同時セッションに対応する冗長構成のNATペアと、専用のSNATアドレス。
- お客様独自のIPアドレス空間とASNを利用でき、RPKI ROAにも従います。
設計の詳細はストレージとネットワークに、B300での推論の提供については本番環境の推論に向けたB300に掲載しています。
推論サーバーの稼働拠点
HGX B300はトロントで、RTX PRO 6000 Blackwellなどの推論サーバーはモントリオールで稼働しています。
トロント
稼働中NVIDIA HGX B300サーバーとクラスター。
モントリオール
稼働中RTX PRO 6000 Blackwellなどの推論サーバー。オンサイトのエンジニアリングサポート付き。
デラウェア州
稼働準備中計算資源を米国内に置く必要があるお客様向けのHGX B300キャパシティ。
ヘルシンキ
開発中欧州における将来のキャパシティに向けて開発中の、ブラウンフィールド型のデータセンター用地。
パートナーネットワーク:北米、欧州、アフリカ、オーストラリアの26都市にある49カ所のデータセンター。 すべての拠点を見る
米国デラウェア州のHGX B300キャパシティは稼働準備中です。データをカナダ国内に置く必要がある場合は、トロントまたはモントリオールをお選びください。当社のデータセンターとカナダのGPUクラウドをご覧ください。
推論サーバーのレンタルの仕組み
推論サーバーはサーバー単位で、36カ月、48カ月、60カ月のいずれかの期間、提案書で定めた一律の固定月額料金でレンタルします。エンドポイントが送信するトラフィックにエグレス料金はかかりません。
契約締結時に頭金をお支払いいただき、その後は契約期間を通じて毎月お支払いいただきます。契約期間が長いほど料金は低くなります。オンボーディング書類と契約については導入の流れで説明しています。
導入検討時のよくあるご質問
推論用にGPUを1基だけレンタルできますか?
いいえ。8基のGPUを搭載したサーバーを丸ごとレンタルしています。GPUごとに1つのモデルレプリカを配置するか、MIGインスタンスを使えば、1台のサーバーで複数のモデルを実行できます。
70Bモデルに適したサーバーはどれですか?
RTX PRO 6000 Blackwellは、FP8またはFP4の70Bモデルを96 GBのGPU 1基に収められます。長いコンテキストや高い同時実行数が必要な場合、HGX B300ならFP8の重みを載せた後もGPUあたり約200 GBをKVキャッシュに使えます。
トークン単位、リクエスト単位、またはエグレスで課金されますか?
いいえ。契約期間を通じてサーバーの一律の固定月額料金をお支払いいただきます。エグレス料金はかかりません。
契約前に自社のモデルでベンチマークを実施できますか?
トライアルやPoCは提供していません。当社のエンジニアがお客様と一緒に、モデルの重み、コンテキスト長、同時実行数からサーバー構成を決めます。すべてのクラスターは引き渡し前にバーンインを実施し、その結果は検収テスト報告書に記載されます。
推論サーバーはどこにありますか?
HGX B300サーバーはトロントに、RTX PRO 6000 Blackwellなどの推論サーバーはモントリオールにあります。米国デラウェア州のHGX B300キャパシティは稼働準備中です。
どのサービングソフトウェアを利用できますか?
サーバーはベアメタルのため、vLLM、SGLang、TensorRT-LLMなど、お客様独自のスタックをインストールしていただけます。その下層で動作するマネージドKubernetesを当社がインストールし、運用することもできます。